本日の1曲
ポリスの「シンクロニシティーII」🦕5thアルバム『シンクロニシティー(Synchronicity)』(1983年)より。
おすすめ動画
歌詞和訳
とある郊外に暮らす家族の朝。祖母が、壁に向かって悲鳴を上げる。
ライス・クリスピー(※1)の騒音に、
負けないように叫ばねばならない。
まったく何も聞こえない。
母親は、退屈と欲求不満を、
えんえんとしゃべり続ける。
けど、みんな分かってる、彼女の自殺はやらせだってね。
父親は、遠くを眺めているばかり。
彼が受け入れるのにも、限界がある。
何マイルも離れて、
ドロドロのヘドロから、何かが這い出してくる。
暗いスコットランドの湖の底で、(※2)
とある醜悪な工場地帯の朝。
工場は、げっぷをまき散らし空を汚染する。
彼は、今日、ピケライン(※3)に、
さえぎられることなく、通り過ぎる。
彼は、何故なのかという疑問などもたない。
秘書は、ふくれっ面で、めかしこむ。
赤いライトの中、安い売春婦みたいに、
だけど、彼はただ見物することしか考えてない。
そして、いわゆる上司とのミーティングは、毎度毎度、
股間に、屈辱的な蹴りを入れられるようなものだ。
何マイルも離れて、
何かが、湖面を這いまわる。
暗いスコットランドの湖で、
とある仕事終わり。
待ってるのは、ラッシュアワー地獄のみ。
輝く金属の箱の中に、
レミング(※4)のように詰め込まれる。
自殺レースの競技者たち。
父親は、ハンドルを握りしめ、ひとり遠くを見つめている。
彼は、何か、どこかが、壊れていると分かってる。
彼には、今、家族の待つ家が見える。
ヘッドライトの中に、ぼんやり現れる。
頭の中の痛みが、彼の眼球をうずかせる。
何マイルも離れて、
ドアに忍び寄る影。
岸のコテージ。
暗いスコットランドの湖の、
何マイルも離れて、
何マイルも離れて、
何マイルも離れて、
何マイルも離れて、
何マイルも離れて、
何マイルも離れて、
遠く、遠く、離れて。。
注釈
※1Rice Krispies:ライスクリスピーケロッグ社が製造している朝食用シリアル。 ミルクを加えるとライスが崩れて、
特徴的な「パチパチ、パチパチ、ポップ」という音が出る。
ケロッグ ライスクリスピー 300g
posted with カエレバ
※2Scottish lake:スコットランドの湖(ネッシーで有名なネス湖)
※3picket lines:スト破り防止のための監視線。ピケライン。
※4lemming:レミング
3~4年周期で個体数が急激に増減することが知られており、
「集団自殺をする」という都市伝説があった。
Lyrics : The Police "Synchronicity II"
ザ・ポリス / シンクロニシティー(SHM-SACD) [SACD]
posted with カエレバ
その他動画
ライブはこちらで、、、復活のライブはこちらで、、、
Police - Certifiable CD アルバム 【輸入盤】
posted with カエレバ
解説・解釈
郊外で暮らす、労働者の家族、祖母は奇声を発し、母親は愚痴ばかり。父親は、毎朝、汚染された工場地帯に通い、ストライキなどには参加しない。
職場では、嫌な上司に、酷い扱いを受けても、ただひたすら受け流すだけ。
レミングのように、ラッシュアワーに吸い込まれる。車から、家の灯が見えてくると、
彼の頭痛はますます酷くなる。。ああ、遠くの湖にうごめく怪物が、姿を現す。。
スティング的「シンクロニシティ」、果たして、何と何がシンクロしていると??
この父親の「鬱積した日常生活」と、「湖にうごめく謎の怪物」がシンクロしていて、
父親の妄想・不安が増幅してゆくにつれて、湖の怪物が姿を現すのだ!ってこと?(謎)
スティングは、造船と炭鉱の街で育ち、父親は牛乳配達の仕事をしていた。
決して裕福とは言えない暮らしの中、家の中では喧嘩が絶えなかったようです。
そして、ある日、母親の浮気を目撃してしまい、現実逃避し音楽にのめり込んで行く。
この歌詞、単に社会派というだけじゃなく、スティング自身の家族と重なる気もする。
参考・出典
「Synchronicity II」英語版Wikiによると、、、アルバム「シンクロニシティ」からの3枚目のシングルで、
リードシンガー兼ベーシストのスティングが作詞作曲
カール・ユングのシンクロニシティ理論に言及しているこの曲は、
名目上は、家庭、仕事、環境が気力を奪い、憂鬱な男性の物語を語っている。
男性は上司から日常的に軽蔑され、ピケラインを越えても無視される。
その間ずっと「どこかで何かが壊れなければならないことを彼は知っている」。
一方、「暗いスコットランドの湖/入り江」から怪物のような何かが出現している。
これはネス湖の怪物を指しており、父親自身の内なる苦悩と重なる。
「家庭内の状況で、妄想に陥りかけている男性がいて、
その男性の妄想が増すにつれて、スコットランドの湖に怪物が姿を現す。
その怪物は男性の不安の象徴で、これこそシンクロニシティだ。」
—スティング、「ビジュアルドキュメンタリー」、1984年。
スティングはタイム誌にこの曲のテーマを次のように説明している。
「ユングは、人生には大きなパターンがあり、それは単なる混沌ではないと信じていた。
僕らの曲「シンクロニシティII」は、論理的または因果的にではなく、
象徴的につながっている2つの平行した出来事についてだ。」
「シンクロニシティ II」は、ウィリアム・バトラー・イェイツの詩「再臨」から
インスピレーションを得たとも考えられている。
「再臨」のテーマは「シンクロニシティ II」のテーマと似ており、
文明が崩壊し始め、その代わりに何か新しいもの、
おそらく野蛮なものが出現するというものである。
ギタリストのアンディ・サマーズによれば、当初この曲と「シンクロニシティ I」の
間には、「つながりがある予定だったという。
「『シンクロニシティ』には、私たちが「ザ・ロック」と呼んでいたセクションがあった。
ギターシンセをCシャープにデチューンすると、素晴らしい音の波が生まれた。
美しい音だ。その上にアコースティック、数個のシンバル、オーボエが乗っていて、
とても穏やかだった。『シンクロニシティI』の最後にこのセクションを置く予定だった。
ネス湖の怪物になるはずで、その後『シンクロニシティII』に繋がることになっていた。
しかし、うまくゆかず、マイルス(コープランド)は気に入らなかった。
彼にはサイケデリックすぎるってね。」
「Synchronicity II By The Polics」英語版Songfactによると、、、
シンクロニシティとは、一見偶然の出来事がその意味を通じてつながっている
という理論で、心理学者カール・ユングは、超常現象を説明する方法として
この用語を作った。
この歌のシンクロニシティという理論は、環境汚染に抗議するピケラインと、
その結果として汚染された湖から出現した突然変異の怪物とのつながりのこと。
スティングはこの曲とアルバム『シンクロニシティ』のほとんどの曲を、
ジャマイカの北岸にあるジェームズ・ボンドの作者イアン・フレミングの旧居、
ゴールデンアイに滞在しながら書いた。
「イギリスはフォークランド諸島をめぐってアルゼンチンと戦争をしていた。
南大西洋の凍てつく海で若者たちが死んでいくなか、
私はカリブ海を見下ろす崖の上で太陽の黒点を眺めていた」
とスティングはLyrics By Stingで述べている。
この間、彼はユングに関する本をたくさん読み、シンクロニシティの概念を
信じるようになった。
あとがき
(2009/03/18 の投稿を更新しました)さすがスティング!!社会派、バリバリな感じでイイですね。
なんだか、最近、考えてしまったりするのよねぇ。。。
資本主義社会の矛盾?崩壊??格差社会の悲哀???
まあ、本当の貧困を味わったことがない私には、語れないな。
ポリス・スティング歌詞和訳一覧
7拍手👏ありがとうございました。